前回「2%オジ」という不名誉(?)な称号を得た話をした
今回はその2%オジが格ゲに出逢った時の話である
30年程前に遡る
おじきは陽キャでゲームとか無縁
外で遊ぶのが正義でゲームは陰キャが現実から逃げる為のツールみたいな認識だった
「あんなものは要らない、スポーツやれ」
というわけでファミコンが家に来る事はなく
粘りに粘って小4の時にようやくスーファミをゲットした
最初に来たのはスーパーマリオワールドとF-Zero
すげぇやった
それこそ親の仇レベルでやった
でもココまでは良かった
スーファミが家に来て2年目の冬に悪魔は突然やってきた
おじきが忘年会のビンゴ大会に参加し
その景品で、出たばかりのFF5とスト2を千鳥足で持って帰ってきた
どっちも麻薬だった
FF5も馬鹿エピソードがそれなりにあるのだが
今回は2%オジ生誕が主題なので割愛する
さてこのスト2
初めての出会いから30余年経った今でも格ゲに魅せられている現状からも
如何に危険なゲームかおわかりいただけるかと思う
正直レベル的には薬物と何ら変わらない
理屈ではなく脳が欲しがるのだ
しかしそんな事前情報は勿論なく突如としてウチに来た
ゲーセンにもまだ通っていなかった為ファミ通で少し目にした程度だ
FF5はシリーズ5作目と言う事もありクラスでも話題には上がっていたが
スト2に関してはあまり情報を把握できていなかったのだ
とにかく箱を開け説明書に目を通す
なるほど喧嘩か
当時今のような多流格闘技大会は無くテレビで見れる格闘技は相撲かプロレス
どちらにも当てはまらないので喧嘩として受信した
パンチとキックがあるんだな
3個ずつ?
左手と右手と?
分からない
XYL : パンチを打ちます
ABR : キックを打ちます
3本目の手足とは?
分からない
その疑問は次のページで解消した
ああ、弱中強があるのか
難易度設定
難易度?
想像力の欠如だ
小学生が故に喧嘩の難易度が分からない
体がデカい?
運動神経がいい?
いや、ゲームだぞ
難易度ってなんだ?
考えても分からないので読み進める
基本操作
上でジャンプ
なんて分かりやすいんだ、マリオもコレでいい
弱は連射がきく
強は破壊力大、ただしスキが多い
うーん、分かった!!(分かってない)
いよいよ来た、キャラクターと必殺技!!
波動拳?
喧嘩じゃないのか?
ドラゴンボール的なやつか?
かめはめ波?
まぁいいや、なんかカッコいいし
↓↘︎→と同時にパンチ
ん?
何個押すんだ?
4つ?
チクショウわからない事が多過ぎる
とまぁ一通り説明書に目を通してからゲームを起動する
何も分からないのでさっき気弾を飛ばしていた空手家にする
RYU
リュウか
なんか赤い道着のやつが来た
誰だ?
KEN
ケン?
立ち絵も似ている
とりあえずかめはめ波だ
出ない
この「波動拳が出ない」は実は解消にかなりの期間を要する事になる
ちなみに格ゲ初挑戦のこの時は数日で波動拳を諦めボタン連打で技が出る春麗に乗り換えた
かめはめ波が出ないならRYUである必要はない
俺は必殺技が使いたかったのだ
必ず殺す技
でも何故か負けまくった
必殺とは?
しばらく特筆する事も無く月日は流れ
波動拳が出ない少年は春麗か本田ばかり使っていた
FF5が忙しかった事もありさほど気にしてなかったのだが
ある日クラスメイトのK間君の口から「波動拳」という単語が聞こえた
K間君はファミコンを持っていたのでスーファミを手にする前はみんなでK間君の家によく集まった
ファミコンホルダーは俺からすればエリートだ
K間君なら波動拳の出し方を知っているかも知れない
波動拳という単語が聞こえた事もあり俺はK間君の元へ向かった
波動拳が出せない事を正直に吐露し
K間君が波動拳の出し方を知っているか率直に尋ねた
やはり知っていた
そしてその時初めて全て同時押しでは無く順番に押して最後の→とパンチだけが同時だと知った
よくよく考えれば全て同時では波動拳と昇龍拳が同じコマンドになるので分かりそうなものだが
波動拳に固執する余り昇龍拳のコマンドなんか気にも留めていなかった
コレで俺も波動拳が打てる
試してすらいないのに何故か確信した俺は帰宅後すぐにスト2を起動した
教わった通り1方向ずつ確実に入力していく
↓
↘︎
→とパンチ!!
シュッ!!
弱パンが出た
この時の入力を例えるなら連絡帳を見ながら電話番号を入力するぐらいゆっくりだった
↓
ニュートラル
↘︎
ニュートラル
→+パンチ!!
出るはずがない
K間君の助言でコマンドの入力方法を理解したつもりの俺は昇龍拳や竜巻旋風脚も試した
だが出るのはしゃがパンや弱Kだった
結局出ないまま夕飯を迎えた
食後はFF5と決めていたのでその日のスト2は何の進展もないまま終わったわけだ
K間君にもう一度聞いてみよう
翌る日
「それ多分遅いんだよ」
速度が重要だと思っていなかった俺は衝撃を受けた
あのポチポチを高速で入れろっていうのか?
やはり分かっていなかった
K間君の家は通学径路上にあったので
「教わった通り入力しても出ないんだ、一度見せて欲しい」
と言えば下校時に見せてもらう事も出来たはずだが
この時クラスでも希少なストリートファイターのK間君に
勘違いも甚だしいライバル心を抱き始めていた
勝手にライバル視し始めた俺は誰にも聞けずに完全に誤認した入力の高速化に努めた
ポチポチポチターン!!
駄目だまだ遅い
ポポポターン!!
ポポポターン!!
ポポポターン!!
ポポポターン!!
ポポポターン!!
ハドーケン!!
出てしまった
鮮明な記憶ではないが恐らく早すぎて指を滑らせるに近い入力がなされたのだろう
間違った認識のまま出てしまったのだ
しかし、喜びも束の間戦慄する
こんな入力1日に何回も出来ない…
間違っているのだから当たり前だ
だがそれが間違いだと知らない俺はK間君とのレベルの差に愕然とした
K間君はコレを自在に操ると思ったのだ
流石エリートレベルが違う
だが今日俺も大いなる一歩を踏み出したのだ
待っていろK間君
片想いのライバル心と勘違い入力の二刀流で最強に近付いたと錯覚した俺は
その後も間違った入力を極める為に修行を続けた
しかし…
K間君との距離が縮まらない
間違った入力は全く安定せず
俺の波動拳はまるで正月にしか会わない親戚のおじさんと化していた
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いやもっと低かったかも知れない
左手の親指はとっくに限界を超えていた
悔しい、辛い…
追い詰められた俺は
パーパーパーパーパー!!
本田に戻った
左手の親指を酷使するよりもボタンを連打するだけで技が出る本田は楽だった
今振り返ると溜めコマンドも俺が誤認するに至る要素の1つだったかも知れない
←溜め ニュートラル →+パンチ
コレで力士が飛んでしまうので方向キーは都度ニュートラルを挟むと思ったのだろう
ところが転機は突然訪れた
ここも昔過ぎて記憶が定かではないが
確かファミ通を立ち読みする為に地元の本屋に向かった
ドラゴンボールの単行本を集めていた俺は
単価300円そこそこの買い物を年に一、二度するだけのくせに
常連面して本屋に通っていた
立ち読みをする為に
そしてファミ通が置いてあるコーナーに辿り着いた時に出会ってしまった
スト2とおぼしき表紙の雑誌がファミ通のすぐ近くにあったのだ
ナンダコレハ…
そう、新たな薬物との出逢い
ゲーメストだ
ファミ通を見に来たハズだのにそんな事は完全に忘れてゲーメストを手に取る
何の雑誌か分からないままパラパラめくる中で目にしたのだ
丸の下に↓から→まで繋がった矢印が引いてある
その丸がレバーの玉だと知るのはもっと後の事だが
この時俺はようやく理解する
あの矢印は絶え間なく連続して入力するのだ
ゲーメストその場に置き家へと急ぐ
キタ!!
革命の時だ!!
はやる気持ちを抑えながらスト2を起動する
さぁ!!さぁ早く出させてくれ!!
波動拳を!!
左手の親指を十字キーの↓に当てがい→目掛けて一気に滑らせる
そしてパンチ!!
シュッ
登り弱パンが出た
横で止めるのムズくねぇか?
最初こそ失敗したものの徐々に安定し
波動拳と竜巻旋風脚は自在に操るに至った
長くなってしまったがコレが2%オジの始まりである
この後昇龍墓地、キャンセルの乱、戦場デビューそしてコンボゲーとの出逢いと続く訳だ
今回はこれにて
長くねぇか?
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